日本看護技術学会

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浣腸(GE)

第11回学術集会 交流セッション速報

11回学術集会(2012年9月17日(月)10:20~11:40)において、45名の参加者を交えて、本セッションを行いました。台風の中ではありましたが、ゲスト講師の大分大学医学部名誉教授島田達生先生を交え、今回は主として摘便に関する手技に関して、解剖学的側面から検討しました。内容は次の通りです。詳しくは本学会誌に掲載予定です。

 

1.GEGE_image1が原因の有害事象は減少していない!

グラフに示すように、GEを実施したことによって起こった直腸粘膜損傷、直腸穿孔、GE液の血中混入による腎不全などの報告が後を絶ちません。報告論文の中には、自宅で家族がGEを実施したことによる直腸穿孔、GE実施直後に症状があらわれず、1週後に発症した事例がありました。また循環動態への影響によりGE実施直後に心肺停止となった事例なども報告されています。看護師のGE実施手技および、実施にともなうアセスメントが重要であることは言うまでもありません。

 

 

2.粘膜を傷めない摘便手技とは?

GE_picture1

 摘便は直腸粘膜を損傷するリスクが高いにもかかわらず、GEとの併用が行われ、かつ標準的な手技として確立されているとは言い難い技術です。そこで、大分大学名誉教授で解剖学者の島田達生先生より、解剖組織学の視点からみる粘膜を傷めない摘便手技に関してプレゼンテーションしていただきました。

 解剖組織学の視点から推奨される一般的な摘便手技として、患者を左側臥位にし、ゼリーをたっぷりつけた手袋にて、第2指を肛門から患者の背側に向け挿入し、曲げた指の腹に便をひっかけて掻き出すこと。そして、肛門から4cmまでは重層扁平上皮で覆われているために物理的な傷害に強い構造となっているが、その奥からは急に粘膜組織に移行しており傷害には弱い構造となっていることに留意すること。さらに、息むことが出来る患者は便が掻き出しやすくなるため、息んでもらう。息むことが出来ない患者には用手的に腹圧を加えることも便を出しやすくする工夫ではないかと述べられました。

 会場の参加者からは、臨床では、挿入は人差し指や中指で、どれだけ長く指を入れることができるかが重要なようであったこと、指を挿入する向きも背中側・腹側、単に掻き出す・ぐるっと回すなど、手技が多岐に渡っている状況が意見交換されました。

 また、呼吸器装着の患者に対して、摘便とグリセリン浣腸を併用していたことと、グリセリン浣腸と浣腸の順は様々で(GE施行後摘便、摘便施行後GE,前日にGEしたが出きらないので摘便をするなど)、統一した基準がなかったという意見も出ました。

 これらの点を踏まえ、本グループでは引き続き、安全な摘便の技術について検討していく予定です。

 

 

 

 

参考資料(グリセリン浣腸による有害事象報告論文)

1 米川力・鎌田敦志・湊貴至・西登美雄・中永士師明・多治見公高(2005)
グリセリン浣腸により直腸潰瘍および溶血尿をきたした1例
日本臨床救急医学会雑誌、8(4)、337-340.
2 大城望史・石川哲大・山下正博・新井春華・田澤宏文・谷本新学・米神裕介・水沼和之・松田正裕・石本達郎・眞次康弘・香川直樹・福田康彦・田中一誠(2005)
グリセリン浣腸により直腸穿孔,直腸周囲膿瘍を来たした血液透析患者の1例
日本透析医学会雑誌38、Suppl.1、928.
3 清田誠志・後藤司・井上義博・大村泰・北村彰英(2005)
グリセリン浣腸により直腸穿孔と溶血を起こした1例
日本大腸肛門病学会雑誌、58(9)、587.
4 伊藤恭彦・鈴木聡・田中章郎(2005)
その他の治療薬による薬物性腎障害:高脂血症薬,下剤・かん腸-安全に使用するための日常診療における注意
医学のあゆみ、215(6)、583-589.
5 安部達也・岩重弘文・佐藤誠・村木専一・國本正雄・沖田憲司(2005)
グリセリン浣腸による外傷性直腸穿孔の1例
臨牀と研究、82(3)、494-496.
6 植木知身・巽博臣・奥雅志・山田能之・平田公一(2004)
グリセリン浣腸後に生じたS状結腸穿孔の1例
日本臨床外科学会雑誌、65(4)、1139.
7 島田能史・松尾仁之・小林孝(2004)
グリセリン浣腸により直腸穿孔と溶血をきたした一症例
新潟医学会雑誌、118(1)、17-20.
8 小出欣和・前田耕太郎・花井恒一・佐藤美信・升森宏次・松本昌久・青山浩幸・松岡宏・勝野秀稔・石川太郎・船橋益夫・青山敦子・鎌野俊彰(2004)
グリセリン浣腸による直腸潰瘍の2例
日本消化器内視鏡学会雑誌、46、Suppl.2、1988.
9 池谷祐美・西村勇人・佐生真貴子・玉井宏史(2004)
グリセリン浣腸を施行後に急性腎不全を来たした1例
日本腎臓学会誌、46(6)、509.
10 當山鉄男・川上浩司・稲嶺進・座波久光・大城直人・武島正則(2003)
浣腸が誘因と考えられた(外傷性)直腸穿孔2例
日本大腸肛門病学会雑誌、56(9)、750.
11 中沢和之・森畠康策・前田浩輝・前田恒宏・寺澤宏・篠崎正博・清水靖仁・一瀬雅夫(2003)
大腸内視鏡検査前処置が誘因と考えられる虚血性大腸炎の1例
消化器科、37(3)、327-330.
12 森山友章・垣内顕治・谷口英人・浪尾博志(2003)
一度みたら忘れられない内視鏡像 直腸穿孔
消化器内視鏡、15(6)、898-899.
13 岩重弘文・佐藤誠・國本正雄(2003)
術前に施行した浣腸により直腸損傷をきたした症例
日本大腸肛門病学会雑誌、56(3)、708.
14 月岡雄治・尾山勝信・小矢崎直博・西村元一(2002)
グリセリン浣腸によると考えられた直腸穿孔に起因する骨盤直腸窩膿瘍の1例
日本大腸肛門病学会雑誌、55(4)、184-188.
15 島田能史・小林孝・松尾仁之(2002)
グリセリン浣腸の直腸外注入により血液透析を必要とした一症例
新潟医学会雑誌、116(12)、636-637.
16 島田能史・小林孝・松尾仁之(2002)
グリセリン浣腸の直腸外注入により血液透析を必要とした一症例
日本臨床外科学会雑誌、63、Sippl、517.
17 原浩平・山田礼二郎(2002)
箸使用摘便による直腸穿孔の1例
日本臨床外科学会雑誌、63(11)、2734-2737.
18 國仲弘一・金城実男・佐村博範・廣安俊吾・白石裕之・武藤良弘(2001)
頻回の浣腸によると思われた大腸憩室穿孔の1例
日本腹部救急医学会雑誌、21(2)、409.
19 樽見研・吉田和義・西尾昭彦・石山勇司・細川英明(2000)
グリセリン浣腸と痔核硬化療法により溶血をきたし血液透析を必要とした1症例
北海道外科雑誌、45(1)、6.
20 竹本俊二・冨岡英則・米田啓三(2000)
浣腸が誘因と考えられる大腸穿孔性腹膜炎の3例
日本臨床外科学会雑誌、61(7)、1945.
21 河口賀彦・木嶋泰興・岡崎護・紙田信彦(2000)
グリセリン浣腸により溶血をきたした1例
日本臨床外科学会雑誌、61(8)、2243.
22 五十洲剛・管桂一・赤間洋一・藤井真行(2000)
グリセリン浣腸液が原因と考えられた血色素尿の2症例
麻酔、49(7)、814.
23 濱崎達憲・古谷卓三・森近博司・上野隆(1999)
浣腸によると思われた直腸膀胱瘻の1例
日本臨床外科学会雑誌、60(6)、1579-1582.
24 斎藤征史・兎澤晴彦・須田浩晃・船越和博・秋山修宏・加藤俊幸・小越和栄・筒井光広(1998)
直腸潰瘍 定義と形態変化をめぐって グリセリン浣腸による直腸潰瘍及び穿孔の1例
消化器内視鏡、10(10)、1325-1329.
25 井上康広他(1997)
グリセリン浣腸が原因と考えられた溶血の一症例
日本小児科学会雑誌、101(2)、384.
26 濱崎公久他(1997)
グリセリン浣腸による血色素尿の1例
泌尿器外科、10(9)、1009-1010.
27 清水文彰他(1993)
誤って直腸壁に穿孔しグリセリン浣腸液を注入した一例
日赤医学、17(11)、1509.
28 今村美幸・田中直文・井上由実(1993)
グリセリン浣腸液が原因と考えられた血色素尿
17(11)、1509-1510.
29 江口政治・楠戸和仁・清岡博士他(1993)
グリセリン浣腸により溶血が誘発された1症例
高知県立中央病院医学雑誌、20(1)、45-47.
30 中山一誠・秋枝洋三・山地恵美子他(1992)
浣腸後に生じたBacteroides fragilisによる敗血症の1例
嫌気性菌感染症研究、21、17-22.
31 栗原英二他(1991)
腹部急性疾患 浣腸によると考えられた直腸穿孔の1例
日本救急医学会雑誌、2(2)、375.
32 森谷尚人他(1990)
浣腸後に発症した虚血性大腸炎の2例
Gastroenterological Endoscopy、32(8)、2071.
33 高野正博(1988)
浣腸の刺激による潰瘍
日本大腸肛門病学会雑誌、41(6)、731.